「雪が降ると伊賀者が泣く」という言い伝え

ゆきがふるといがものがなく

春日局の頃にあった話です。
家康の伊賀越えに功績があった伊賀・甲賀の忍を江戸城警備として徳川家は召し抱えました。そのうち甲賀者は大奥の外を、伊賀は大奥の内側の担当になりました。ところが外界から隔離された女の牢獄である大奥では将軍以外男子禁制です。ですから汚れた外の男の姿を見せないよう、伊賀者は後ろ向きで手を繋いで輪になり、女たちに顔を見せないように警護したそうです。これはかなり苦行だったらしく、さらに雪が降る寒い日には意地悪で陰湿な女たちが伊賀者たちに雪をぶつけて苛めることで外に出れない鬱憤を晴らし悦に入ったと言われています。当然振り返ることも怒ることも許されない伊賀者たちは雪が降らないことを祈るしかなかった、という悲しいお話です。