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本物の忍者はこの地から生まれた

フィクション化した忍者

ふたつの忍者

実際に戦場などで活躍した忍者(以下、リアル忍者)と、フィクション化した忍者(以下、フィクション忍者)では、大きな違いがある。
リアル忍者の活動を忍術書などで見てみると、迷信めいたものも中にはあるが、その多くの技術・道具は、科学的に解明することができる。しかし、フィクション忍者のそれは、奇想天外なものが多い。

江戸時代・明治時代・大正時代

江戸時代に書かれた忍者説話では、科学などを無視した「超人的な忍術を使う忍者が大事なものを奪うために潜入する」物語が描かれた(吉丸雄哉『忍者文芸研究読本』)。そのような説話が芝居になると、それが役者絵として描かれるようになり、ビジュアル化していく。
明治時代になると、講談速記本や立川(たつかわ)文庫で、「猿飛佐助」など、それまでサブ・キャラクターでしかなかった忍者が、正義の味方となり、主人公の地位を得ることになった(山田雄司・吉丸雄哉編『忍者の誕生』)。これにより、忍者は“陰キャラ”でも“陽キャラ”でも描くことができるようになる。
さらに、大正時代になると、映画が輸入され、消えては現れるなど現実ではあり得ない忍術を視覚表現することが容易になる。それが人気を博し、忍者映画が大量に作られると、子供たちはそんな忍者の真似をするようになった。その子どもたちの様子を見て、遂に忍者双六などのアナログ・ゲームまで世に生みだされた。

昭和時代

昭和時代になると、そこに漫画が加わる。漫画で描かれる世界では忍者がギャグとして描かれることも増え、さらに表現の幅が増えた。昭和50年代に家庭用ゲームが普及すると、忍者のデジタル・ゲームが加わった。さらに、海外へと輸出された忍者が、その地で新しい忍者像を生み出すなど、フィクション忍者は時代と共に変化し続けている(吉丸雄哉「アナログ忍者ゲームの世界」山田雄司編『忍者学研究』)。(玉田玊秀斎)

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忍者の里 伊賀(三重県伊賀市・名張市)
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